モラルと秩序

2011年5月12日

カメラマンになって駆け出しの頃、アメリカに
ロケに行く時に、必ずクレジットカードを携帯
するように先輩から言われました。
なぜかというと、もしも交通事故とかに遭った
時に、クレジットカードを所持してないと、
救急車に乗せてもらえないというのが、
理由でした。

ルールとモラルという話があります。
ルールは規則ですよね。
モラルは道徳。
ほとんどの動物達はルールの概念はありません
ルールのように見えている事は秩序です。
動物達は規則を守るのではなくて、秩序を守っ
ているのです。
秩序はそれぞれが生きて行くために、お互いを
必要にしているから、自然発生的に生まれる事
です。
ルールは規則なので、誰かが決めた事や共通の
利害のために無駄に争わなくするためのシステ
ムのことですよね。
そしてモラルはそれらとは違って、一番に優先
しなくてはならない、生きる為の基本の気持ち
の事です。

お金は信用の具現のモノです。
信用というルールを目に見える形にしたモノで
すよね。そして数字という単位をもったモノで
す。
普段、お金という概念は生活の中で必要不可欠
です。いわゆるルールで生きて行く時には重要
です。しかしモラルを超えるような事になって
はいけないのです。
でも、冒頭の救急車の話のように、時々ルール
に縛られてモラルを忘れてしまうような事が
起きうるのです。

震災で被災した人達が、食事の配給の列を崩さ
ずに並んでいるのを海外メディアが評価してい
ました。それは規則ではなく秩序なのです。
一時帰宅を許された原発の避難者は規則の中で
荷物を取りに行きました。

今 政府や東電は補償の話になっています。
マスメディアもその話を重要視しています。
でもそれらは、ルールの話です。
本当に語らなければならないのは、モラルの話
です。生きて行くための基本の気持ちの話を根
底にしてなければいけないのです。

長ーい前置きになりましたが、人命を一番に考
えて、それ以外のことは後で考えれば良いので
す。目の前で健康に困っている人と、目の前で
お金に困っている人がいたら、どちらを優先し
て助けますか?
モラルで考えればすぐに答えが出ますよね。

原発の事故によって放射性物質がまだまだ出て
いるようです。空中に舞って遠くまで届きます
また、放水によって海洋は汚染されて、遠くま
で広まって行きます。避難者だけの話ではなく
原発から遠く離れた人達にも、どんどん健康
に影響が出る可能性が出ているのです。

ルールを決めるのではなく、モラルで決めれば
みんな秩序をもって行動するはずです。
もうすでに、混乱の中で被災者の人達が実証し
ているではないですか !